2020年8月30日日曜日

Summer day

 




S2000という車は実に厄介だ。
トータルバランスに優れ、基本的に弱点がない。
よく曲がりよく止まり、よく走る。
特に旋回速度に至っては異常とも言えるほで、結果的にコースにおける
アベレージスピードは異様に高い。
何より、車の基本的なディメンションにおいてある程度”設計者の理想”が反映されている。

僕は当初、S2000のこうした特徴から”出来の良い、しかし面白みのない車”だと思っていた。
いつかの記事にも書いたかもしれないが、僕は基本的になんでもできる人間には興味がない。
これだけは負けないという人間にこそ魅力を感じるのだ。
それは車でも一緒で、当時欲しかったE36M3、NSX、S2000、そしてS2エキシージの中で
一番魅力を感じなかったのが実はS2000だった。
それこそ他の車に比べて”優等生過ぎてつまらない”と、僕は浅はかにも思っていたのだ。

しかし突き詰めて考えれば、どれだけチューニングを施しても車のディメンションは
個性として必ず残る。つまり生まれ持った素性の良さは必ず最後に効いてくるのだ。
でなければ、350psや450psなんてのがゴロゴロしているY中組の中で
銀色に輝く2台のS2000はあれ程存在感を示せなかった筈だ。

だが、車の素性においてどれだけ優劣があろうとも、一芸を磨きに磨けば必ず光る。
S氏のS15シルビアがちょうどそれに当たる。

僕は、S2000で彼と走る際にはいつも”コーナーでは絶対負けないのに!”と思っていた。
だが、結果はいつも”良くて引き分け”、そんなものだった。
それはそれで面白い勝負ではあるのだが、パワー差をトータルバランスで覆せない悔しさがあった。

そして僕はエキシージで走りだした。

それは僕自身の長年の夢でもあったのだが、同時にそれは大概の車には加速負けしない
強力な武器を手に入れたのと同義だった。

今、箱根某所を駆け抜けている銀色のS2000と朝焼け色のS2エキシージ。
僕はそれなりの旋回速度と抜群の立ち上がりを武器に、追いかけてくる銀色のS2000を引き離しにかかる。
それは、ちょうど僕が数年前に感じていたVS15シルビア戦の感想に近いのかもしれなかった。

走り終えた後、”コーナーを抜ける度に少しずつ引き離される感じを久しぶりに味わった”
と悔しそうに言っていたのが印象的だった。

峠は基本的に常に無差別級だ。
相手が100万の軽であれ5000万のポルシェであれ対等な立場だ。
だからこそ、これはガキの喧嘩であり遊びなのだ。
それ以上でもそれ以下でもない。

幸運な事に、僕は周りの人達に恵まれている。
だからこそ僕は地元の水窪ダムで走り初めて以来、走るステージは変わっても
変わらず同じスタンスで走る事が出来ている。

これほど熱くなれる事が他にあるだろうか。
無論、暗黙の了解やマナーを守った上での話である。

あの当時、オレ達は本気だった。
そして今でも本気で走る事ができている。
それは、どんな状況でも本気で相手をしてくれる人達がいるからだ。
僕はその事にこそ感謝したい。

そんな事を考えた、ある夏の日の朝でした。


因みにその後、ウチの悪2000とパイセンがタイマン張ってましたw
幸か不幸か、巻き込まれた方もいたようですがw

いやあ、楽しい朝でした!

2 件のコメント:

  1. 久しぶりに遊んで頂き、ありがとうございました。
    コノヤロー から アキラメ に変わっていく感覚が久しぶりで、朝焼け色が 段々 酷悪色 に変わって見えたのは気のせいか...
    次回は 後半戦まで コノヤロー と思い続けられるように精進しますので、またよろしくです。
    イイ感じの写真、ありがとうございます。
    加工前のモノ mail 送信おねがいできます?
    Y中S2

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    1. まずはマフラーをφ70に!
      もしくはスポーツ触媒!

      それだけでずいぶん変わりますよ、きっと!
      僕もS2000の整備を進めようと思います!

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