2012年10月21日日曜日

ヘンタイの奇跡


世の中には二種類のヘンタイがいる。

一人は1割の快楽の為に9割の苦痛を良しとするモノだ。
例えば一瞬の快楽の為に、”熱い””寒い”を我慢して一年中バイクに乗り続けるような
モノ達はこれに属するだろう。

所謂一般的に”ヘンタイ”と呼ばれる人達だ。

もう一方は、残りの9割すら苦痛とも思わない、言い換えれば”バカ”だ。
頭のネジが2〜3本飛んでるような、いやそもそもネジが存在したのかどうかさえ
アヤシイ社会不適合者とも言える連中である。

つまり”生きてるだけでラッキー”な人生葉っぱ隊だ。
彼らの行動原理は至ってシンプルである。

”走る”事だ。

それ以外はどうでも良いのである。理由すら必要としない。
例え前日にハイサイドを起こそうが、翌日にはケロっとして走りに来てしまうのだ。
※民明書房刊”人生ハイサイド”より抜粋


そんな上級なドヘンタイがまた箱根に現れた。
G・キクチ氏である。

彼は”自分はかなり強力な晴れ男だ”などと吹聴していたが、正直な所私は然程関心が無かった。

しかし、今朝9:30過ぎ。
なんとか保っていた箱根某所の天気も崩れ、ぽつぽつと雨が瞬き始めた。

こりゃだめだ。
ちゃちゃっと帰ろうと思っていたら見慣れた緑色が。
そして、彼が通り過ぎると嘘のように雨が止み、花が咲き乱れ始めた。

・・・ハ?

そして彼が箱根某所を何往復かすると、雨どころか晴れてしまった。
どうやら彼が雨雲をどこかに吹き飛ばしてしまったらしい。

狐に蹴飛ばされたような感覚の中、私はその時突然理解した。
彼はやはり上級のヘンタイなのだと。

その事を、走り終えた彼に伝えてみるとどうやら特別な事ではないらしい。
やはりこの漢は何か持っている。

その後は彼と本当にたわいもない話を約20分。
たったそれだけでも、自分には十分意義のある時間となった。

・・・楽しかったってことさ。

ただ、高々100km前後の朝練ではイケる筈も無く。
ムルティなら尚更だ。

だから、出てきたついでにぐるっと横浜まで。
大桟橋まで行ってみたが、行ってみただけ。

写真を撮るなら、朝か夜じゃないとここは雰囲気でないね。




帰り際、この世の終わりのような夕焼けを見た。
これだけでも出かけた価値がある。

たとえ明日でこの世が終わるとしても、私はその最後の瞬間まで走っているだろう。
レザーのスーツで正装して、相方と最後のデートを、きっと笑いながら。

私はそれしか知らないが、それ以上も見た事が無い。
理由なんか元々必要としていない。

そんな事を考えながら、ムルティを走らせ帰路についた。
うん、今日も楽しかった!

さて明日は何しようかな。

2012年10月13日土曜日

東京少年・・・いや、東京全力少女







朝起きてみると、箱根は10℃前後の下界の冬模様。

今年はもう終わりだな。
半ばストーブリーグだろう・・・軽く流すだけにするか。

走れないなら、行かなきゃ良いのだがそこはほら、馬鹿さ加減はアンインストール
できんからさ。

上がってみると、日は出てるが肌寒い。
路面温度は人肌以下。
しかも今日は冬仕様のツナギ。

まるで、去年の事故当日の状況を再生したかのような状況。

ま、流すだけ・・・流すだけさ。
そう言聞かせながらも緊張しているのかツナギが堅いのか、どうも今日は動きがヘン。

どうも左コーナーでの重心移動が・・・。

中途半端な速度域で走る時こそ、ひとつひとつの動作を確実に。
これを怠る時があるのが私の悪い癖だ。

今日はそれとライン取りが課題。

ただ、今日は状況が悪い。
夜露で濡れている部分もあれば、妙に人が多い。

こういう時は無理せず早めに上がろうと、いつものトコに駐機させると
今日はやたらと賑やか。

どこかのロケバスが来てる。

新車情報かカーグラかと思っていたのだが、どうやら”東京全力少女”とかってドラマの
第三話の撮影らしい。

・・・しかしだな。
女優さんが一人(か二人)にスタッフ20人以上って・・・。

・・・まあ、そりゃ皆なりたがるよね、これだけ厚遇されちゃあさ。
気分良いもの、こんなMaxちやほや。

ただ、これを一回でも味わうと普通の職業には就けないんじゃ・・・。
しかし、何で土曜の午前中に撮影?平日にすりゃ良いのに・・・。

何となく理由は分かるが・・・。

その状況を見ながら、先週偶々見た”アイドルすかんぴん”とかってドキュメント
を思い出した。
日曜午後の”ノンフィクション”は大体ホストかダンボーラーと相場は決まっていたのだが
珍しくアイドルの話。
しかしアイドルとは言え、売れなきゃ状況は似たようなもの。

何が違うんだろう、その人とあの人達は・・・。

そんな事を考えながら、無駄に長いロケバスの駐車の邪魔さ加減と目の前の状況に
少しばかり不愉快さを覚え、今日はさっさと降りてきました。

箱根某所は静かな方が良い。

2012年10月8日月曜日

Emotional scene




さてぃすふぁくしょん











 ”だから・・・タイヤが・・・無いんだって・・・言ってるだろうが!!”
上ずった、妙にビブラートのかかった声で、僕はイイワケじみた台詞を吐き捨てた。

右に左に取っ散らかりそうになるリアを気遣いながら、先行するBMWとエリーゼを
必死に追う。

BMWはあまり見た事は無いが、後ろから見ればタダモノではない事は容易に分かる。
綺麗なラインとコーナーの組み立てから判断すれば決して一見さんなんかじゃない。
”知ってる”人間だ。

そしてエリーゼだ。
この人は殆どラスボスと言って良い存在。
シビック時代、僕がどう頑張っても勝てなかった相手だ。

そのシビック時代よりどう考えてもアクセル開度が低い今の状態では勝てる理由なんか
探す方がバカバカしくなる。

それでも、追う。

”やっぱりあの人ら速いよね、ハハ!”で済ませる程僕は賢くはない。
勝てなきゃ勝つまで努力するのみ。

やがて、BMWが見えてきたが、エリーゼは遥か彼方のその先へ。
やはり状況は芳しくはない。

冷静に見れば進入→コーナー前半が絶望的に遅い。
ブレーキングも甘い。

要は一線を越えた時の挙動が分からないから、結果攻めあぐねる。
コーナー後半でS2000のパワーに助けられているだけだ。

やはり進入から4輪流しつつ向きを変え、全壊率のパーセンテージを上げねばな。
それにはやはりもっと上の領域の挙動を知る事だ。
早くエビスで修行せねば・・・。

決意も新たにいつもの駐車場に我が相方を駐機させると見慣れた車が。

Mさんとスーパー7。
140km/h以上で恐らくは窒息死するであろう英国自慢のヘンタイ車だ。

積もる話は仕事と車。
僕と似たり寄ったりのドヘンタイだ。

その後横に乗せてもらったが、マジパねえ速度感。
正直少しペースを上げて走っただけで、ある意味満足できる気持ち良さ。

無論その程度で満足するようなヘンタイは、我がライバルには存在しない。
彼も常に上を見ている。

それにしても、今日はホントに気持ちの良い天気。
無論、このまま帰るのはもったいないと箱根を一周し大観山へ。

彼も僕も30を過ぎ、少し”大人しく”なり、無為に時を過ごす贅沢さを知った。
その気持ち良さがわかるようになった。

結局大観山では、何をする訳でもなく、何もしなかった。
でもそれが心地良かった。

その後は二人で下界に下り、買い物(金目鯛の干物)と昼食(ラーメン)を。
いつもと変わらないと言えば変わらない、休日の過ごし方。

でも、僕は帰り際のSのコクピットの中では笑みが絶えなかった。
何だか良い休日だな。

そう思えた連休最終日。
皆さんはどう過ごしました?

2012年10月7日日曜日

Ever green



Red monochrome




AHO



何故か、今日僕のカラダはキレッ切れだった。
それに呼応するかのように加速するウチの娘。

何だこれ。
いつものブレーキングポイントではまるで間に合わない。

ハ?

特に何かを変えた訳じゃない。だが、見える景色がまるで違う。
困惑と恍惚が綯い交ぜになり、メットの中の僕が必死に自戒する。

・・・まるでV-MAXだな。ザカールじゃあるまいし。大体金色じゃないだろう・・・

無論そんなバブルは長続きする訳が無く、3本目であえなくTrans-AMは終わった。
その後は機体とカラダの動きがマッチせず、明らかにオカシな挙動に。
それは特に低速コーナーで顕著だった。

・・・今日はこれまでだな。

いつもの場所に帰投し、今日の走りを反省する。
楽しかったのは事実だが、今日は反省点の方が多い。

10時を過ぎ馬鹿げた時間が終わると箱根某所にも日常が戻る。
そこに見慣れた緑色が飛び込んできた。

G・キクチ氏。





まさか来るとは思ってなかっただけに少しびっくり。
しかも帰る直前。

・・・縁が強いのかもな。

彼と他愛も無い話をしながら、ゆっくりと流れる時間を楽しむ。
超7のMさんもそうだが、彼も僕も20代の頃から殆ど変わってないように思う。
ただ、30を過ぎてから、こういう時間も楽しめるようになった。

最近、友人に”結婚もせず何が楽しくて生きてるの?”と聞かれた。
僕はその時笑ってごまかしたが、これ以上に楽しい事を僕は知らない。

彼女は冗談半分に聞いてきたが、僕は真剣に聞いてみたかった。
これ以上に熱くなれる事が他にあるのか、と。

僕のカラダは無駄な情熱で出来ている。
半分は”走り”、半分は”仕事”だ。

それ以上の何かが出てくれば器を大きくするだけだ。

僕の回りにはそういう馬鹿げた絶滅危惧種が多数存在する。
そして辺りを見回せば走れる環境が揃っている。

自分で造り上げた環境だが、縁や運にも助けられている。
様々なモノを犠牲にしてきたが、引き換えに得たモノも大きいのだ。

そんな事を感じた連休初日。
良い休日でした。