2014年11月4日火曜日

Difference between MAZDA and SUBARU



最近マツダとスバルが好調だ。
日産のリーフに於ける惨状やフィットやタカタに絡むリコール問題で苦しむホンダとは対照的である。

スバルに於ける好調の理由は、一つは”北米市場”で売れている事だ。
文化や法規、サイズの違う北米市場に合わせた車を投入する事でスバルは一定の評価を得ている。
世界的なSUV、クロスオーバーブームの後押しもあろうが、北米市場に於けるスバル車の
価値と価格が漸く見合ってきた結果だろうと僕は考える。

そして日本では日本に見合ったサイズの国内モデルを投入し、最早スバルの代名詞となりつつある
アイサイトで安全性をアピールする事で、イメージを一新し新たな客層を掴んでいる。
簡単に言えば、今まで”素人お断り”みたいな”ガチガチ”のスバルのイメージを安全性を訴える事でその敷居を下げ
コアなファン層”以外”にも選んでもらえるようになったと言う事だ。

では、元々の”個性の強い”スバルを望む所謂スバリストに対してはどうかというと
その答えがレヴォーグであったりWRXだったりするのだろう。
彼等スバリストがその車をどう思うかは別として、今スバルがやりたいのは全方位的に売る事だと思う。

要は拡大路線、トヨタやVW、ホンダのような話だ。
いやトヨタやVWは、元々”そういうメーカー”なので何方かと言えばホンダ的な話だ。
ホンダもミニバンのヒットを先鞭にして、そちらに舵を切ったのは記憶に新しい。

対してマツダ。
こちらはスバルとは正反対で、只管”走り”をアピールポイントにしている。
燃費の話なんぞどこ吹く風、知った事かと言わんばかりに”Be a driver”一直線である。

ただし今のマツダ車が燃費が悪いかと言えばそうではなくて、ただどこにも詠ってないだけだ。
クリーンディーゼルや技術供与とは言えハイブリッドもラインナップするにも拘らず
”車の価値って燃費だけじゃないよね、笑顔だよね”と言って憚らない。

彼等が言いたいのは”運転って面白いよ”、この一点のみだ。

元々ロードスターやロータリー車を擁するマツダは、昔から走りのイメージが強い。
今のマツダはそれをより深く追求する戦略を取ったという事だ。
マツダの企業規模からすると規模の拡大路線はワリに合わない、なら深くマツダの価値を
追求するしか道はない、と考えたのかもしれない。

今の所、その戦略は見事にハマっていて、今年のカーオブザイヤーもデミオだ。
自動車雑誌は次期ロードスターやデミオのディーゼルで賑わっており
今やどれを見てもマツダ特集だ。

ただ、自動車関連のジャーナリストは元々車好きや走り好きのハズなので
今のマツダの主義主張に同意し易く、結果的にマツダがモテているのかもしれない。

生産台数で言えばそう極端に増えているワケではないにも関わらずのこのマツダ地獄は
そういう側面もあるのかもしれない。

マツダもスバルも元々は技術指向の強い商売ベタのメーカーという似たような出自のハズなのに
この両者の極端な違いはとても面白い。

これはどちらが良いとか悪いとかの話ではなく、単純に戦略の違いだ。

マツダの場合、熱狂的なファンを増やし易くブランディングに秀でている反面規模を増やしにくい。
恐らく、今後5年や10年で世界市場に於けるマツダのシェアが5〜10%も上がる事はない。
逆に、規模があまりにも拡大すると今度は”一つの事”に特化しにくくなる。

対してスバルは規模を増やし易い反面、舵取りを間違えると”両方”からそっぽを向かれてしまう危険性を孕む。
スバルの戦略は言ってみれば”二股”で、両者に対し適度な満足感を与えねばならず
マネジメントを間違えるとあっという間に破綻してしまう。

簡単に言えばどちらに対しても”良い顔”をしなくてはならないので
もし”二枚舌”と捉えられればどちらも離れていってしまうのは人間関係だけではないだろう。

ただし今時、”コアなファン”と”特定のお気に入りを持たない一般的な消費者”の両者に対し
同時に訴求するのは”基本的に相反する事”であり、トヨタやVW程の規模を持つメーカーでも困難を極める。

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因に、先頃話題になった”ランクルの再販”は少し誇張があるように思う。
ランクルは元々中東やオーストラリアで”今でも”普通に販売されているものだ。

年間1000台程度とは言え海外向けのカタログモデルを日本向けにアレンジしたものであり
恐らくは一般的な”再販”のイメージとは異なる。

つまりは、例えば今ではもう造られてはいない86やMR2のような”既に金型が存在しない”
ようなモデルでは、ランクルのような対応は不可能となる。
※86やMR2のようなモデルでも再販の可能性は無くはないが、この場合法規の問題もあり
 かなりのウルトラCである。

これもコアなファンに対する一種の訴求だが、これは上記の通り”特例”だろう。
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個人的な事を言えば、僕はマツダの方に好感を覚える。
スバルについては、正直ホンダとかぶってしまうのだ。

今のホンダはタカタとフィットのリコールで大変な事になっているが
性急な規模の拡大が要因の一つではないかと思っている。

量の拡大はそういう危険性が必ず付いて回るが、それよりも気になるのは
規模を追う場合、最終的には価格競争に陥るということだ。
それによりスバルの味が薄くなってしまうのが、僕のような車好きには何よりの懸念点だ。

マツダの場合は、シビックみたいに売れすぎて自滅・・・だけが懸念点。
今のマツダの方向性はものすごく腑に落ちるので、是非今のまま貫いてほしいものです。

そうそう、これらの話は”自動運転の普及”を前提としていない。
自動運転が普及し出すと、根底からひっくり返るのでまた話は変わってくる。

自動ブレーキが普通に搭載される今の世の中、自動運転も夢の技術ではなくなったが
実際の普及にはまだまだ解決すべき問題が山積している。

その自動運転の口火を切ったのはGoogleだが、Googleと自動車メーカーでは自動運転に対する
捉え方が真逆だ。

簡単に言えばGoogleに於ける自動運転とは只の手段であり、メーカーにとっての自動運転は目的だ。

この辺りの違いは、自動運転の可能性や難しさも含めて次回の講釈に。
※次回があるかどうかは未定です。

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