2011年9月9日金曜日

ブランド力

この街に住んでいると、夏の終わりとか始まりを肌で感じることができる。
帰り際に感じる空気は、もう夏ではなくなっていた。

いつものように海沿いの国道を歩いて帰る。
今夜の波は、少し柔らかい音がする。

私はここでonとoffのスイッチを切り替える。
そしてもうひとつのスイッチをonにする。

”朝晴れたらまた行こう”
帰宅後、真紅の愛機を目の前にし少し甘い声を出してみた。

脹脛からじんわりと広がる明日への期待。
カバー越しに伝わる艶っぽいライン。
その気にさせるように、くびれたウェストラインを薄くなぞりながら語りかけた。

バイクは女性に例えられることが多い。
なら、コミュニケーションはとかく大事だ。

この娘が少しばかり”気まぐれ”なのは愛嬌だ。

実の所、メリットよりもデメリットの方が
多いように思う。

付き合い続けるにはお金がかかるし
高価なブランド品ばかりを要求してくる。
相手に寄り添ったりもしないし決して優しくはない。

まるで現実的な”悪い女”のようだが、この娘は
とても綺麗だ。それも事実だ。

それはまるで甘い毒。
私は二年前にこの毒にヤラれた。

おかげで私の魂と財布は衰弱しきっている。

それでも私は明日朝箱根に上がるだろう。

きっと、笑いながら。

これは大人の本気の遊びだ。だからこそ仕事も本気。
常に全開で、本気で。

生活の中にDucatiがある。
それはつまりこういうことなんだ。

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