2013年9月29日日曜日

perfume in my remembrance






二年前のちょうど今頃、僕は絶好調だった。
箱根某所ならどこでも膝が擦れる気がしていたし、我が相方を自在に振り回せると過信していた。

勿論ソレは錯覚に過ぎず、しかしそれに気付かず調子に乗っていた僕は箱根某所で
ひっくり返って病院で一ヶ月間、みっちり頭を冷やす羽目になった。

・・・まあ、冷えたかどうかは未だ定かではないのだが。

あれから随分経つが、あの時の”何でも出来る”様に思えた”あの感覚”は未だに戻ってはいない。
それを痛ましくも輝かしく思いながら、少し焦燥感に駆られつつ今日も今日とて箱根某所で。

が、今朝はどこかおかしい。
いや、僕がオカシイのはいつもの事だが、今朝は明らかに変な軌跡を描いて走っている。
・・・曲がらない。

???

頭の中は?マークでイッパイに。
約一月程、我が相方とはご無沙汰だった訳だが、ソレを差し引いてもいつもと違う。

段々焦り始め、カラダが堅く力が入り始めた3往復目。
割と好きなコーナーのひとつである、3速で駆け抜ける緩い上りの左コーナー。
付けないクリップを横目に、スロットルを開けれないストレスと共に形ばかりのハングオン。

次の右は2速。

頭の片隅にあるコースの組み立てをなぞるように、ブレーキレバーに指をかけ車速を落とす。
血液が逆流しそうな減速Gを感じながら、明らかにオーバースピードな進入速度に全身が粟立つ。

一瞬、悲鳴を上げたリアタイヤが左右に踊る。

考えるより先に、レバーにかけた指の力を少し緩める。
半ば強引に車体を右に倒し、嫌がる相方を宥め無理矢理曲げる。
ガードレールを嘗めるように立ち上がり、車体が起き上がった所でスロットルを緩め
短くひとつ息を吐いた。

そこで、気がついた。
ラインとブレーキポイントがS2000のままだった事に。

S2000の突っ込みを、1198で。
・・・そりゃ、リズムが崩れるよ。

最近S2000ばかり乗っていた所為か、まるで”余韻”のように僕の中にはSのリズム
が残っていたらしい。

ソレが分かれば、後は頭の中の走りと実際の走りの修正をし、整合性を取るだけだ。
相方を抱きしめるように姿勢を下げ肩を落とし、僕は再び走り始めた。

早めのブレーキング、ステップを踏み体幹軸をずらし重心を変えていく。
シート越しのリアタイヤの感触、頭の中で開度を想像するスロットル開度。
膝を通して伝わるアスファルトの感触。

機械に必要なのは物理法則だが、走る人間に必要なのはイマジネーションだ。

・・・そうだ、こんな感じだ。

あの頃とは比べるべくも無いのだが、いや、そもそもその発想が間違いだ。
大事なのは”今、楽しいか”だ。

焦る必要なんかどこにも無い。

クーリングラップがてら、”あと一本”を流してみるとこの道と今朝の天気の気持ち良さが良く分かる。
思わず、メットの中の目が笑う。

”適度な満足感”で自分を納得させる程僕は大人ではないが、それでも今朝はこれで十分だ。
帰りの箱根新道で無駄に車体を左右に振りたくなる程度には、僕は満足した。

そもそも、年に数日しか無い”バイクに乗って気持ちの良い日”を楽しまないなんてナンセンスだよね。

”やりきった感”を再現するのは、ま、今後の楽しみにしよう。

2 件のコメント:

  1. こんばんわ
    バイクとクルマはブレーキングポイントと
    ブレーキの使い方がちがうよね
    車は体重移動で荷重移動ができないから
    ブレーキで荷重を操作するからね。
    自分もバイク乗り始めたころ
    それがわからなくて
    曲げられなくて悩みました。。。

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  2. 僕は未だにバイクの走らせ方が良くわかりませんw
    バイクは”人間”という超アナログなフィルターを通さないといけないのでどうしてもヒトに依存しちゃう。
    車はある程度車自身が助けてくれるけどね。

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