2014年11月4日火曜日

A foolish story




週末の朝はやたらと賑わう箱根某所も、夕焼けの時間帯が過ぎれば殆ど誰もいなくなる。
”こんな時間帯”の”こういう場所”に来るのは、果たしていつ以来だろう。

日が落ちた山間の、街灯も無い峠道を駆け上がる時のあの”不安と期待”が滲むあの感じ。
今日は写真を撮りに来ただけなのに、ただ流すだけでもドキドキが止まらない。

いつもとは違う場所で煙草を燻らすと、聞こえてきたのは虫の音と揺れる秋の音と甲高いV10の音。
そういや水窪ダムにもいたっけな、似たようなのが。

サーキットでは車の性能がモノを言うが、峠では”人間”次第。
そう思って、当時何度かシビックで喧嘩を売ったが、結局はどうだったかな。

・・・良く覚えてないな。

最も記憶に残っているのは、友人の乗るP10プリメーラとのシングルマッチ。
その友人は最近結婚したが、それでもまだあの”雑貨”に乗ってるそうだ。

今考えればレベルの低い争いだったろうが、それでも当時の僕らは本気で走ってた。
これしかないと思ってたし、本気で人生かけて走ってた。

あれから僕らは年を取り外部環境も大分変わったが、それでもまたあの時みたいに
お互い本気の車で遊びたいものだ。

ま、時代は変わっても自慢のマシンが”走る雑貨のボロ車”である事は変わんないだろうけどなw


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Difference between MAZDA and SUBARU



最近マツダとスバルが好調だ。
日産のリーフに於ける惨状やフィットやタカタに絡むリコール問題で苦しむホンダとは対照的である。

スバルに於ける好調の理由は、一つは”北米市場”で売れている事だ。
文化や法規、サイズの違う北米市場に合わせた車を投入する事でスバルは一定の評価を得ている。
世界的なSUV、クロスオーバーブームの後押しもあろうが、北米市場に於けるスバル車の
価値と価格が漸く見合ってきた結果だろうと僕は考える。

そして日本では日本に見合ったサイズの国内モデルを投入し、最早スバルの代名詞となりつつある
アイサイトで安全性をアピールする事で、イメージを一新し新たな客層を掴んでいる。
簡単に言えば、今まで”素人お断り”みたいな”ガチガチ”のスバルのイメージを安全性を訴える事でその敷居を下げ
コアなファン層”以外”にも選んでもらえるようになったと言う事だ。

では、元々の”個性の強い”スバルを望む所謂スバリストに対してはどうかというと
その答えがレヴォーグであったりWRXだったりするのだろう。
彼等スバリストがその車をどう思うかは別として、今スバルがやりたいのは全方位的に売る事だと思う。

要は拡大路線、トヨタやVW、ホンダのような話だ。
いやトヨタやVWは、元々”そういうメーカー”なので何方かと言えばホンダ的な話だ。
ホンダもミニバンのヒットを先鞭にして、そちらに舵を切ったのは記憶に新しい。

対してマツダ。
こちらはスバルとは正反対で、只管”走り”をアピールポイントにしている。
燃費の話なんぞどこ吹く風、知った事かと言わんばかりに”Be a driver”一直線である。

ただし今のマツダ車が燃費が悪いかと言えばそうではなくて、ただどこにも詠ってないだけだ。
クリーンディーゼルや技術供与とは言えハイブリッドもラインナップするにも拘らず
”車の価値って燃費だけじゃないよね、笑顔だよね”と言って憚らない。

彼等が言いたいのは”運転って面白いよ”、この一点のみだ。

元々ロードスターやロータリー車を擁するマツダは、昔から走りのイメージが強い。
今のマツダはそれをより深く追求する戦略を取ったという事だ。
マツダの企業規模からすると規模の拡大路線はワリに合わない、なら深くマツダの価値を
追求するしか道はない、と考えたのかもしれない。

今の所、その戦略は見事にハマっていて、今年のカーオブザイヤーもデミオだ。
自動車雑誌は次期ロードスターやデミオのディーゼルで賑わっており
今やどれを見てもマツダ特集だ。

ただ、自動車関連のジャーナリストは元々車好きや走り好きのハズなので
今のマツダの主義主張に同意し易く、結果的にマツダがモテているのかもしれない。

生産台数で言えばそう極端に増えているワケではないにも関わらずのこのマツダ地獄は
そういう側面もあるのかもしれない。

マツダもスバルも元々は技術指向の強い商売ベタのメーカーという似たような出自のハズなのに
この両者の極端な違いはとても面白い。

これはどちらが良いとか悪いとかの話ではなく、単純に戦略の違いだ。

マツダの場合、熱狂的なファンを増やし易くブランディングに秀でている反面規模を増やしにくい。
恐らく、今後5年や10年で世界市場に於けるマツダのシェアが5〜10%も上がる事はない。
逆に、規模があまりにも拡大すると今度は”一つの事”に特化しにくくなる。

対してスバルは規模を増やし易い反面、舵取りを間違えると”両方”からそっぽを向かれてしまう危険性を孕む。
スバルの戦略は言ってみれば”二股”で、両者に対し適度な満足感を与えねばならず
マネジメントを間違えるとあっという間に破綻してしまう。

簡単に言えばどちらに対しても”良い顔”をしなくてはならないので
もし”二枚舌”と捉えられればどちらも離れていってしまうのは人間関係だけではないだろう。

ただし今時、”コアなファン”と”特定のお気に入りを持たない一般的な消費者”の両者に対し
同時に訴求するのは”基本的に相反する事”であり、トヨタやVW程の規模を持つメーカーでも困難を極める。

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因に、先頃話題になった”ランクルの再販”は少し誇張があるように思う。
ランクルは元々中東やオーストラリアで”今でも”普通に販売されているものだ。

年間1000台程度とは言え海外向けのカタログモデルを日本向けにアレンジしたものであり
恐らくは一般的な”再販”のイメージとは異なる。

つまりは、例えば今ではもう造られてはいない86やMR2のような”既に金型が存在しない”
ようなモデルでは、ランクルのような対応は不可能となる。
※86やMR2のようなモデルでも再販の可能性は無くはないが、この場合法規の問題もあり
 かなりのウルトラCである。

これもコアなファンに対する一種の訴求だが、これは上記の通り”特例”だろう。
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個人的な事を言えば、僕はマツダの方に好感を覚える。
スバルについては、正直ホンダとかぶってしまうのだ。

今のホンダはタカタとフィットのリコールで大変な事になっているが
性急な規模の拡大が要因の一つではないかと思っている。

量の拡大はそういう危険性が必ず付いて回るが、それよりも気になるのは
規模を追う場合、最終的には価格競争に陥るということだ。
それによりスバルの味が薄くなってしまうのが、僕のような車好きには何よりの懸念点だ。

マツダの場合は、シビックみたいに売れすぎて自滅・・・だけが懸念点。
今のマツダの方向性はものすごく腑に落ちるので、是非今のまま貫いてほしいものです。

そうそう、これらの話は”自動運転の普及”を前提としていない。
自動運転が普及し出すと、根底からひっくり返るのでまた話は変わってくる。

自動ブレーキが普通に搭載される今の世の中、自動運転も夢の技術ではなくなったが
実際の普及にはまだまだ解決すべき問題が山積している。

その自動運転の口火を切ったのはGoogleだが、Googleと自動車メーカーでは自動運転に対する
捉え方が真逆だ。

簡単に言えばGoogleに於ける自動運転とは只の手段であり、メーカーにとっての自動運転は目的だ。

この辺りの違いは、自動運転の可能性や難しさも含めて次回の講釈に。
※次回があるかどうかは未定です。

2014年10月26日日曜日

Get with Night dew


今朝は昨日とは違い、知ってる人も何人か。
天気も良いし暖かいし言う事無いんだが、路面がセミウェット・・・。
しかも後半区間の日陰はフルウェット・・・。

ま、天気や路面状況はばかりはどうしようもない。
今朝は適度に流して終了。

それでも、雨上がりの朝みたいな今朝の箱根は流すだけでも十分に爽やかで気持ち良い。


帰宅後、我が相方を洗車。
最近は箱根から帰ってくると必ず綺麗にするようにしている。

元々はブレーキダストがこびりつくのがイヤでまめにやるようにしていたが
今では、どちらかというとその日の走りをリセットする意味合いの方が強い。

洗いながら今日の走りを思い出し、タイヤやブレーキを備にチェックすれば
どの程度の事が出来てどういう事が出来なかったかが良く分かる。

それらを踏まえた上で一度リセットし、また新たな気持ちで次に望む。
最近は、それら一連のサイクルを回して得られたフィードバックを自分に還元し
少しずつ経験値を増やしていっている。

ま、気休め程度かもしれないしプラシーボかもしれないけどね。
ただ、僕と相方には大事な時間。
最近は近所の子供に変な目で見られつつあるけれど、それは気にしないw

今朝はちゃんと走れなかったが、来週は晴れると良いな。

今年の箱根某所もあと少し。
1198にも1回くらいは乗っておきたいものです。


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No one is there


誰もいやしねえ、土曜の朝・・・。
それはそれで色々都合が良かったりするんですが、流石にちょっとサミシイ。


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2014年10月18日土曜日

Refrain






静謐と言うには、凍える寒さの箱根某所。
10℃を下回る今朝のような条件下では、いつものように・・・というわけにはいかない。

慎重にフロントノーズの向きを変え、まるで隙間を埋めるように立ち上がる。
今朝は、巻き込むようなS2000の旋回性が少し怖く感じる。

ただ、今朝のように凍える朝の我が相方は一際甲高く吠える。
弾ける加速に、目が笑う。

気がつけば少しだけ日が射してきた。
それでもまだ寒い今朝の状況では、そろそろ潮時だろうと僕は考えた。

だが、今朝はこんなもんかとレストハウスに戻る道すがら、すれ違った一台のBMWは
レストハウスに着く頃には、僕の後ろにピタリとつけていた。

鮮やかな白のZ4のMクーペ。

僕にはこのMクーペの持ち主に覚えがあった。
先週絡んだR6の彼だ。

先週聞いていた車種の特徴、そして何よりその絡み方。
彼は、明らかに”場慣れ”していた。
それは、前を走る車の意図を”読める”事を意味する。

かつて深夜の峠を走る人間なら、大なり小なり誰もが持っていたこの”通じ合う”感覚。
彼を従え往路をスタートする頃、僕はちょっと人には見せれない笑顔になっていた。

先週見せた”ワルい顔”は彼の走りですぐに溶けて消えたが、今朝の僕には余裕と冷静さがあった。

スタート直後の長めのストレート、そしてその後の少しうねった上りながらの左。
本気でかかってくるかどうか若しくはどういう相手かは、ここを”どう抜けてくるか”で大体見当がつく。

彼は、やはり本気のようだ。

相手を知らない先週までの状況なら、あの重いMクーペでこのペースなら僕はこの時点で
少し混乱していたかもしれない。

だが、Mクーペは重いのだ。
決して軽いとは言えないS2000と比較しても、Mはさらに重い。
相手が先週の彼でも、車のジオメトリーまではどうしようもない。

事実、僕の得意なこの区間でもパーシャルで抜けるようなコーナーはその圧倒的なトルクと良質な足を
活かして綺麗に迫って来るが、ギアダウンが必要な区間でのブレーキングと旋回は
こちらにアドバンテージがある。

頭の入りは良いのだろうが、それが後半部分まで続かない。
コーナーが続けば尚更だろう。
それでもこの区間で踏んでくるのは流石だ。

だがここから先の上り区間は、タイトコーナーが連続する。
本来ならこの区間でトルクを活かして差を詰めたい所だろうが
徐々に広がる両車の距離は、そうはいかない彼の歯がゆさと言った所だろう。
アンダーを殺すのに苦労しているのは、ミラーを見なくても音で分かる。

しかし、思ったようなアドバンテージを造れなかったのは僕も同じで
上りきった先にある三国峠を左に望む、”アクセルオフ”の区間では両車の差は溶けて消え
右に大きく回るコーナーから先のダウンヒル区間から再び仕切り直しとなった。

ここから先は日陰が多く、夏場なら気にもしない所でもコレだけ冷えた路面では
ブレーキングに気を使う。
実際、ABSが効き出す前の、踏み始めのコンマ何秒間はフロントが簡単にロックする。

それでも外部環境は軽い僕に有利だが、一向に引く気の無い彼からのプレッシャーは相当だった。
これがもっと高速寄りの場所なら相当に手を焼く筈だが、ここは箱根でしかも僕にとってはホームだ。

これが楽しくない・・・ワケが無い。
2速と3速を使い分け、彼を後方視界に捉えつつ下りきる頃、僕はやっぱり笑っていた。

その後もう一本彼と走り出したが、流しに来ていたアストンマーチンと重なってしまい
お互い引く格好になってしまった。
人が多くなる時間帯にさしかかる事もあり、今朝はコレで終了した。

レストハウスまで戻り、話しかけてみるとやはり先週の彼だった。
白いZ4は、思ってたよりずっと流麗でカッコ良かった。
S2000もそうだが、ロングノーズショートデッキのクラシカルなスタイルはこういう場所に良く映える。

その後、拓さんも合流し、車とバイクの話を三人で。
それぞれ年代も違うし、生きてきた背景も違うが、求める事は似たような事。

僕にはそれがとても心地良かった。
それと、火照った身体に流し込むどらソフトも美味しかった。(←ありがとね!!)

やはり週末はこうでなくては。
うむ、今日も良き休日でした。


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2014年10月12日日曜日

是非箱根某所に開発センターを




今朝は箱根某所ではなく、主治医の元へ。
最近頓に”負荷”が増えてきたので、各部のチェックとタイヤの組み替え、それにデフオイルの交換。

結果は、各部は特に異常なし。

気にしてたハブ周りもどうやら大丈夫のよう。
ただ、フロントブレーキのローターはそろそろ終わり。

今のペースだと、サーキットどころか箱根某所でも一年持ちそうにない。
なんか考えないとイカンかなあ・・・。。
やっぱりここはS2000の弱点だなあ。

で、S2000のもう一つの弱点、デフ周り。
抜いたオイルは、わりとギラギラ。

それほど鉄粉が多い訳ではなさそうだから、要は油温の上昇が問題。
容量、やっぱり足らないよなあ・・・。

まあ、この辺はある意味想像してた通りで、暫くは交換サイクルを早める事で対処するしか無い。

それとタイヤ。

一番上の写真が左右組み替えた後の右リア。
つまりイン側のささくれ立った部分は、元々アウト側にあたる部分。

・・・なんぞね、この減り方。

これでリアキャンバー最大なんだが、明らかにキャンバー不足。
エッジのキワッキワのみで支えてる感じに見える。

対して、真ん中の写真は交換した後のフロント側になるのだが、やっぱり内減りしてくれてやがる。
まあ、フロントもキャンバー最大だし、ある意味仕方ないのだが簡単に言えばタイヤを上手に使えてない。
こじった後が無いのが、唯一の救い。
もう少し、タイヤマネージメントが上手になりたいなあ。

ただ、セッティングの塩梅もあるかも。
タイヤの減り方だけ見ると、フロントの縮み側を少し柔らかく、リアの縮み側をもう少し堅くした方が良いのかな。

この前リアだけ弄った時は、これ以上柔らかくするのはあまり良い感触ではなかったが
フロントとのバランスを調整すればまた印象が変わりそうだ。

ま、色々課題はあるが、大した故障も無く良かった良かった♫。
それにしても、タイヤといいブレーキといい減り方見ると箱根某所はやっぱり高負荷やわ。
”軽く造れない”ニュルでのアタックなんてやめて、箱根某所で新車開発してくれないもんかね。


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Re:Dance with wolves






どんなに高性能なバイクでも車でも、接地している部分がタイヤである以上
タイヤの性能以上に走る事は出来ない。

ボディも足回りのジオメトリーも、全てタイヤの性能を引き出す為に存在する。
ドライビングもライディングも、結局は物理の世界だ。

だが、今僕の後ろにいるR6はそんなことおかまい無しに突っ込んでくる。
バイクの世界では、”実際速い人は、旋回速度はそうでもないが立ち上がりが速い”と良く言われるが
どうやら彼はそうではないらしい。

三叉路側で待機中に聞こえた、4気筒の甲高い音は”何か”を期待させるには十分だった。
今朝はあまり面白くはなかったので、半ば憂さ晴らしのつもりでそれほど多くを期待した
わけではなかったが、それでも僕は少し待って彼を誘うように走り出した。
だが、バックミラー越しに見える、三国峠までの上り区間での走りは僕の想像の遥か上を行っていた。

正直に言えば、箱根某所で今の僕のアベレージについて来れるバイクがいるなど
想像だにしていなかった。

それは油断であり慢心でもあり、結局の所ただ調子に乗っていただけなのだが
それでも僕には、”タイヤの接地面積の差による物理限界”という理論武装があり
事実、以前ここで絡んだ他のバイクでは、このペースで走ると段々見えなくなるのが常だった。

それに僕自身、1198でもこの箱根某所を走る。
他にはあまりいないだろうが、僕は同じ峠を2輪でも4輪でも走るのだ。
つまり僕は、2輪と4輪の違いを、同一のコースを”同じように”走る事で身を以て体験している。

今の僕には、S2000のペースを1198で再現などできない。

彼と僕の作り出すこのペースが、”2輪にとってどれだけ大変な事か”なんてことは
前を走る僕が誰より良く知っていた。

僕は軽いパニックに陥った。

それでも僕は”焦るな”と自分に言い聞かせ、状況を理解し受け入れ、整理する頃には
ちょうど三国峠を右に望む左の高速コーナーにさしかかっていた。

ここは、観光客の方々の出入りが激しいので、速度を落とし注意深く通過するのが流儀。

一度切った流れを整えるように、僕はS2000を下り区間に放り込む。
絶対的な接地面積の差がある以上、下りは4輪に分がある。

僕は少しだけ冷静さを取り戻し、バックミラーで彼をチェックする余裕ができた。
相変わらず彼はピタリと後ろに張り付くが、それでも2輪と4輪の違いに因る
得意不得意はやはり現れていた。

どうやら彼も余裕綽々でついてきているワケではないらしい。

人間とは現金なもので、それが分かると余裕ができ初め途端に面白くなってきた。
だが、下りきる手前で前がつかえてしまい、止む無くペースダウン。

こういう時、僕は必要以上に車間を空け前の車になるべくプレッシャーを与えないようにしている。
後ろの彼も同様に、大人しくついてきてくれる。

やがて、前の車が気を使ってくれたのか、脇にそれ前を譲ってくれると今度は再び上りのランデブー走行。
ところが、ペースダウン時に彼と僕の間に半ば強引に割って入ってきたGSX−Rか何かの
処理に少し時間を取られたのか、彼と再び絡み出す頃にはもう一本目は終わってしまった。

このままで終われる訳は無く、僕と彼は再び走り出した。

本来、このレストハウスを起点にする方が往路になるわけだが、僕は何方かと言えば
この往路の方が好きだ。

最初の、比較的高速コーナーが続く3速メインのフラットからやや緩やかな下り区間が、僕の得意区間になる。
僕はそこで、今朝は路面温度が低いのでRev縛りで走ろうと考えていた事などすっかり忘れ
ただ只管彼とのタイマンに熱中した。
いや、タイマンというよりは、ワルツ。

これ程面白い事が、世の中に他にあるだろうか。

途中、最初の下りの最後の方で変な所に駐車していた車を避ける為、一度流れを切ってしまったが
そこでの車間上でのやりとりさえ”リズムが合う”感覚。

その後の上り区間でも、晴れて日差しが出てきた事もありRev縛りなど最早存在すら忘れ
普段なら使わない3速まで駆使し、僕は彼を引き離しに掛かる。
当然彼はそれで引き下がるワケなど無く、深いバンク角で後ろから僕を駆り立てる。

それは三国峠から先の下り区間でも同様で、まるで天秤のように得意不得意が
ゆらゆらと現れては消え、その度に僕らを鼓舞していった。

自分の能力を思う存分発揮できる。
これほど楽しい事は無い。

下りきる頃、僕は笑っていた。

時間にして約10分。
こうして僕らは走り終えた。

その後、彼は会釈と手を挙げて挨拶してくれた後、駐車スペースに入っていった。
僕はそのまま、休憩しようとレストハウス方面へ戻ろうとしたが、どうしても彼と話をしたくなり
途中で引き返すことに。

彼等はとても若く、僕が想像していた”歴戦の勇者”とは大分イメージが違っていた。
そして突然彼が聞いてきた”ひょっとしてドカ乗ってます?”の一言で
実は一度彼とここで会っている事に気がついた

箱根はこういう出会いがあるから面白い。

それにしてもバイクでアレだけのペースが作れるってホントスゴい。
ただ、走り終えた後の彼のR6のリアタイヤを見て、僕はちょっとだけホッとした。

あれで”いや、全然余裕ですよ”とか言われたら今頃きっと泣いてるからねw
それにしても今朝はホント楽しかったな。

土日に限って台風直撃なんていう悪意の籠った週末もこれで健やかにすごせそうだ。
さて、明日は我が愛機S2000の健康診断。

あ〜・・・1198乗りてえw


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