静謐と言うには、凍える寒さの箱根某所。
10℃を下回る今朝のような条件下では、いつものように・・・というわけにはいかない。
慎重にフロントノーズの向きを変え、まるで隙間を埋めるように立ち上がる。
今朝は、巻き込むようなS2000の旋回性が少し怖く感じる。
ただ、今朝のように凍える朝の我が相方は一際甲高く吠える。
弾ける加速に、目が笑う。
気がつけば少しだけ日が射してきた。
それでもまだ寒い今朝の状況では、そろそろ潮時だろうと僕は考えた。
だが、今朝はこんなもんかとレストハウスに戻る道すがら、すれ違った一台のBMWは
レストハウスに着く頃には、僕の後ろにピタリとつけていた。
鮮やかな白のZ4のMクーペ。
僕にはこのMクーペの持ち主に覚えがあった。
先週絡んだR6の彼だ。
先週聞いていた車種の特徴、そして何よりその絡み方。
彼は、明らかに”場慣れ”していた。
それは、前を走る車の意図を”読める”事を意味する。
かつて深夜の峠を走る人間なら、大なり小なり誰もが持っていたこの”通じ合う”感覚。
彼を従え往路をスタートする頃、僕はちょっと人には見せれない笑顔になっていた。
先週見せた”ワルい顔”は彼の走りですぐに溶けて消えたが、今朝の僕には余裕と冷静さがあった。
スタート直後の長めのストレート、そしてその後の少しうねった上りながらの左。
本気でかかってくるかどうか若しくはどういう相手かは、ここを”どう抜けてくるか”で大体見当がつく。
彼は、やはり本気のようだ。
相手を知らない先週までの状況なら、あの重いMクーペでこのペースなら僕はこの時点で
少し混乱していたかもしれない。
だが、Mクーペは重いのだ。
決して軽いとは言えないS2000と比較しても、Mはさらに重い。
相手が先週の彼でも、車のジオメトリーまではどうしようもない。
事実、僕の得意なこの区間でもパーシャルで抜けるようなコーナーはその圧倒的なトルクと良質な足を
活かして綺麗に迫って来るが、ギアダウンが必要な区間でのブレーキングと旋回は
こちらにアドバンテージがある。
頭の入りは良いのだろうが、それが後半部分まで続かない。
コーナーが続けば尚更だろう。
それでもこの区間で踏んでくるのは流石だ。
だがここから先の上り区間は、タイトコーナーが連続する。
本来ならこの区間でトルクを活かして差を詰めたい所だろうが
徐々に広がる両車の距離は、そうはいかない彼の歯がゆさと言った所だろう。
アンダーを殺すのに苦労しているのは、ミラーを見なくても音で分かる。
しかし、思ったようなアドバンテージを造れなかったのは僕も同じで
上りきった先にある三国峠を左に望む、”アクセルオフ”の区間では両車の差は溶けて消え
右に大きく回るコーナーから先のダウンヒル区間から再び仕切り直しとなった。
ここから先は日陰が多く、夏場なら気にもしない所でもコレだけ冷えた路面では
ブレーキングに気を使う。
実際、ABSが効き出す前の、踏み始めのコンマ何秒間はフロントが簡単にロックする。
それでも外部環境は軽い僕に有利だが、一向に引く気の無い彼からのプレッシャーは相当だった。
これがもっと高速寄りの場所なら相当に手を焼く筈だが、ここは箱根でしかも僕にとってはホームだ。
これが楽しくない・・・ワケが無い。
2速と3速を使い分け、彼を後方視界に捉えつつ下りきる頃、僕はやっぱり笑っていた。
その後もう一本彼と走り出したが、流しに来ていたアストンマーチンと重なってしまい
お互い引く格好になってしまった。
人が多くなる時間帯にさしかかる事もあり、今朝はコレで終了した。
レストハウスまで戻り、話しかけてみるとやはり先週の彼だった。
白いZ4は、思ってたよりずっと流麗でカッコ良かった。
S2000もそうだが、ロングノーズショートデッキのクラシカルなスタイルはこういう場所に良く映える。
その後、拓さんも合流し、車とバイクの話を三人で。
それぞれ年代も違うし、生きてきた背景も違うが、求める事は似たような事。
僕にはそれがとても心地良かった。
それと、火照った身体に流し込むどらソフトも美味しかった。(←ありがとね!!)
やはり週末はこうでなくては。
うむ、今日も良き休日でした。
にほんブログ村
あ~いいな~
返信削除正直に羨ましい。
インプは今年はダメだね~
もう来年かな、それまでに戦えるコンディションに
なんとかしておきます・・・おきたいかな。
分かるよね、この”感覚”!!
削除楽しかった!!
期待して待っときます!!
それまでに僕のも色々何かしておきますw