この風景を私は何度見上げただろうか。
えっらそうに見下しやがって。
そこで待ってろ。
すぐに行ってやる。
「次の方どうぞ~♪」
来た。
いざ、尋常に勝負。
ま、私が負ける事など天地がひっくり返ってもありえないがな。
「はい、礼央さん、こんにちは!お加減どうですか~?」
「ええ。滞りなく。息災です。」
「良かった!じゃ、治療始めますよ~♪」
チュィ~~~~ン・・・・がりがりがりがり・・・・
”ギャ~!ヤメテ~!やめてあげて!タスケテ~!”
「はい、ビクビク動かないで~♪あ、舌に力入れないで~!」
”るせぇ!無茶言うんじゃねえ!”
シュゴゴゴゴゴ・・・・
”あ!テメェ、どこ吸ってやがる!ちょ・・・あっ・・・やめ・・・”
「チッ!ダメだな」
”え!舌打ちした?”
「麻酔持ってきて~♪」
”ハ?聞いてねえ!オイ!ちょっ待てよ!”
チクッ
”ア゛~~~~ッ!”
「良し!」
”良くねえ!”
以前にも書いたが、私の売りは”クールさ”だ。
このような言語を絶する極限状況下においても常に冷静沈着であることは揺るがない。
・・・貴様等、マスク越しのその笑いは何だ?
チュィ~~~~ン・・・・がりがりがりがり・・・・
”はうッ!おっ?やっ!ちょっ、もう許し・・・”
チクッ
”ぎひぃ!テメェ!何かやるならやる前に言いやがれ!つ~か、苦ぇ!”
キィ~~~~ン・・・・がりがりがりがり・・・・
「は~い!ガンバッテーガンバッテー」
”るせぇ!ビッグバン・ベイダーか、お前は!”
シュゴゴゴゴゴ・・・・
”だから助手!そこじゃない!ちゃんと吸え!”
「まだ痛い?痛かったら教えてね~♪」
”・・・どうすりゃいいんだよ?”
ぎゅっ
”だから・・・”
ぎゅっ
”何を・・・”
ぎゅっ
”詰めてんだよ”
「噛み合わせどう?あ、大丈夫だね!じゃ、お口濯いで終了~!」
私の売りは”クールさ”だ。
たとえ鬼畜の所業に遭おうとも、私は顔色一つ変えたりしない。
助手が震えてるのはきっと気温のせいだろう。
「ププッ・・・おっ、お大事にぃ~♪」
肩を震わす助手にニヒルに笑いかけ、私はそこを立ち去った。
再び白い巨塔を見上げ口にした言葉。
「今日はこれぐらいにしといてやる」
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