正直な所、今朝はあまり乗り気じゃなかった。
木曜の低気圧で、そこかしこにウェットパッチがあるのは目に見えていたし
恐らくは落ち葉もそうだろう。
何より、殆どスリックみたいなタイヤではまともに走れないと考えていたからだ。
事実、路面状況は酷い有様でコーナースピードが稼げない今朝のような状況下では
S2000は露骨に失速していた。
失速していたのは僕自身も同様で、いつもより離されてしまうこの復路の前半部分において
早くも僕の心は折れかけていた。
”タイヤも無いし、路面状況はアレだしイイワケには十分じゃん?”
”誰か”がそう呟く。
”アクセル抜きなよ。楽になれるよ?”
”誰か”が囁くその言葉は、折れかけた心には甘すぎる。
三国峠を過ぎる頃、差はストレート一本分になっていた。
”ほらほら、もう無理だってば。タイヤ交換してまたやれば良いじゃん!”
”・・・うるせえ!!それでもオレは負けたくないんだ!!”
心の中でそう叫ぶと、何かを振り払うように僕は自分の相方を下り区間へと放り込んだ。
コーナースピードが低ければ低い程、速度を乗せ易いターボの方が有利だ。
復路前半はそれが如実に出たが、ここから先は僕のターンだ。
僕は勝つ為のシナリオを考え始めた。
今のこの差を下り区間で引っ繰り返されたらメンタルは大分ヤラれるハズ。
そのまま縺れれば、あとは高速区間の出来次第。
今朝の高速区間にはウェットパッチが残っていた。
大トルクのターボ車なら一瞬躊躇する。
なら、その一瞬の隙をつき最後の区間でイビリ倒す。
ミゾの無いフェデラルとは言え、まだフロントに”感触”は残っている。
残ったグリップを使うなら、ここだ。
頭に響く”警告音”を無視し、僕はS15を追い始めた。
下り区間に入り、S15は明らかに細かくステップを刻み始めていた。
僕は彼とは逆に、リズムの変わる命の泉から先の区間でこそ跳ね回ってみせる。
下りきる頃には、落ち葉を巻き上げながら走るS15との差は殆ど無くなっていた。
ここから先の高速区間では、馬鹿げた加速を見せるS15に再び差を付けられるが
左の高速コーナーで読み通り一瞬躊躇した隙をつき、上りきる頃には彼の尻を
蹴っ飛ばせる距離での接近戦になった。
そこから先の区間に最早戦略と呼べるものは無く、只の殴り合いに堕ちて行く。
左右に振られる高速シケインを越え、右に展望台を望む左コーナーを立ち上がった所で
彼とのワンマッチは終了した。
絶対的なグリップが著しく落ちている現状でのダウンヒルは、突っ込みの深さと旋回速度で
アドバンテージを稼ぐS2000では殆ど消耗戦と呼べるもので、普段の倍は集中力を要する。
今頃渋滞中にハマっているであろうキクチ君には申し訳ないが、僕はこの一戦で今朝は終了とさせてもらった。
その後、ほとほと疲れ果てた様子でやってきたキクチ君はS15と遊んで思いの外満足したようだった。
天気の良さも手伝い、彼とは昼近くまで話して今朝は下山した。
その他以前お会いしたTypeSの人に再会したりや真っ赤なワイドボディのS2000の人と
知り合ったりと今朝は色々な出来事があった。
箱根はこういう事があるから面白い。
さて明日は漸くタイヤ交換。
触った感じではかなり好感触のRR。
S2000に乗り始めてから初めて4本まとめて交換するので、もしかしたら足のリセッティングが必要かもしれない。
ま、それはそれで楽しみますかね。
うむ、今朝も楽しかった!!
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